メンタルヘルスケア
労働者のストレスは企業のリスクに直結します。
こうしたリスクを抱えている企業は昨今増加傾向にあるものの、メンタルヘルスに関する正しい知識を持った事業主・管理監督者・労働者が少ないのが現状です。
メンタルヘルス対策の大前提
- メンタルの不調はすべての労働者に可能性があります。
- 時間外労働時間が月間100時間を超過すると問題が起きやすくなっています。
- メンタルの不調は体調や表情、行動の変化として現れます。
- メンタルの不調は早期発見が最大の対策法です。
- 産業医を活用することは企業にとって大きなメリットです。
昨今はメンタル不調者がいない企業のほうが珍しく、大部分の企業は何らかの問題によってメンタル不調者を抱えています。
多くは「仕事の質量」「人間関係」「労働時間」「周囲の支援状況」「配置転換や昇格・降格」といった、環境変化による心因ストレスが原因です。
産業医の面接制度は有効なメンタルヘルス対策ですが、これはあくまで2次予防にすぎません。
1次予防として過重労働そのものを減らす企業努力が必要なのは言うまでもありません。
メンタル不調者への対策
(1)仕事の質量、適性
仕事量を調整できるようなコントロール感を与え、適性を見極めたうえで早期に問題を察知する必要があります。
メンタル不調者の仕事を一方的に巻き取る行為などは望ましくなく、「自分は仕事ができない」と捉えてしまい、逆にストレスを与えてしまいます。
負荷は「減らす」のではなく「整理してあげる」と考え、裁量は「与える」のではなく「感じさせる」ようにすることが大切です。
(2)職場のサポート・支援
・相談できる仲間はいるか?
・相談窓口はあるか?
メンタル不調者が自身を追い詰めてしまうような状況を極力排除します。
このとき、支援の方法として「周囲の安易な励ましや声かけ」は逆効果です。
仕事を「手伝う」のではなく、そのプロセスに「関心を持つ」ようにします。
閉鎖的な環境を打破するためにも、産業医・衛生管理者・保健師といった外部機関を活用して、健全性を維持することは有効です。
メンタルヘルスに強い産業医の選任
健全な会社、健全な労働者を考える時、「産業医」という医療従事者の存在は極めて貴重です。
ところが、複雑化・多様化する健康管理の問題や法改正に対応できる産業医や、メンタルヘルスの専門性(精神科系の医師)を持った産業医を見つけることは決して容易ではありません。
具体的に言うと産業医には、「関連法規」「企業の実態」「行政制度」それぞれに精通していることはもちろんですが、相次ぐ法改正への迅速な対応や本来的に求められるきめ細やかなサポート、 協力体制の構築、メンタルヘルスに関する専門性(精神科系の医師)などが求められ、そのレベルは年々高まっています。
「自社に相応しい優秀な産業医を選任できるかどうか」が、今後の企業のリスクマネジメントにとって、極めて重要な要素であり大きな課題です。